後藤特許日記

後藤特許日記(2021年5月)-ベランダの花(3)-

 2021年4月11日、ベランダにフリージア、チューリップ、石楠花(シャクナゲ)、牡丹(ボタン)などの花が一斉に開いた。ベランダは今や花盛り。フリージアはアヤメ科フリージア属の植物。花の色は黄色のほか、白、ピンク、赤、うす紫などがある。香りのよい花で、特に黄色の花は強い芳香を放つ。甘い上品な香りがベランダ中に漂っている。芳香成分はと調べると、リナロール、α-ターピネオール、リモネン、β-ミルセン、オシメン、それに酢酸エチル。実験室でよく嗅いだ酢エチが入っているのが嬉しい。名前繋がりで言うと、昔、シーフリージアという小柄な牝馬がいた。淀や仁川では目立たなかったが、小倉でよく走った。
 石楠花(シャクナゲ)はツツジ科ツツジ属の植物。こちらも、赤、白、黄、ピンクと花色は多い。尾瀬を有名にした名曲『夏の思い出』に、「石楠花色に たそがれる はるかな尾瀬 遠い空」という歌詞がある。空がちょうど写真のような色に染まっていたら、幻想的風景の中でミズバショウの白も映えるだろう。西国三十三所第十番札所である京都三室戸寺の参道の石楠花が美しい。
 牡丹(ボタン)はボタン科ボタン属の植物。牡丹は、同じボタン科ボタン属の芍薬(シャクヤク)[上の石楠花(シャクナゲ)と紛らわしい!]を台木に接ぎ木したものが流通していることが多い。草本性の芍薬は木本性の牡丹より種から早く育つので、生産性を上げるためにそうしているらしい。しかし、芍薬は草本で早く枯れるので、芍薬に接ぎ木した牡丹を植えたら、接ぎ木部分より少し上まで土を盛って牡丹の自根を出させるようにすれば、何年も牡丹の花を楽しめる。時々、接ぎ木部分より下の茎や、周辺の土の中から台木に使った芍薬の芽が出てくる。このまま放置すると芍薬の花が咲くが、養分をとられて牡丹の花が小さくなるので、可哀想だが抜き取ってしまう。蕪村の句に、「ぼたん切て(きって)気のおとろひしゆふべ哉」というのがある。夕方、思い切って牡丹を切った。その途端、牡丹が醸し出す重厚な存在感やまわりに漂わせる緊張感が消え失せ、ぐったりと寂しい虚脱感に襲われたという句。牡丹には妖しい美の魅力と生命の重みがある。
                                        後藤 幸久
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